福田ゆみ:こんにちは、福田ゆみです。
10月になり、だいぶ秋めいてきましたね。
税務会計講座、今月も隅田先生、よろしくお願いします。


隅田:はい、よろしくお願いします。
先月予告した通り、今月も消費税について話します。


福田ゆみ:今回は、消費税のどういうところを話していただけるのでしょうか。

隅田:先月も同じ質問をしたのですが、ゆみさんは、どんなときに消費税を納めていますか?

福田ゆみ:え?先月と同じように答えていいですか?
モノを買ったときです。


隅田:みんな、そう思ってますよね。
私も、説明を簡単に済ませるために、そう言うことの方が多いです。


福田ゆみ:違うんですか?

隅田:もし、モノを買ったらかかるという性質の税金に名前を付けるとしたら、私なら物品販売税とか物品購入税と名づけます。
ところがこの税金は、消費税と名付けられました。


福田ゆみ:そう言われると、そうですね。

隅田:つまり消費税は、モノを売買するところに着目しているのではなく、モノを消費するところに着目した税金なのです。

福田ゆみ“売買”ではなく、“消費”・・・。


隅田:実は消費税は、『消費税法』という法律の中で細かく定められています。
最初の方の条文である第5条に、こう書いています。
「事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、この法律により、消費税を納める義務がある」。
難しいことを書いていますが、要するに、「消費税は、事業者がモノを売買したときに課税する」ということです。


福田ゆみ:あれ?“売買”なんですか?


隅田:第5条だけ読むと、そうなりますよね。
ところが、その直後の第6条に、「消費という性格に合わないもの」を例示して、それらには消費税をかけないことにしています。


福田ゆみ:へえ、そんな条文があるんですね。

隅田:ここからも、“売買”という行為ではなく、“消費”という行為に着目していることがよく分かります。

福田ゆみ:「例示」ということですが、どういうものがあるんですか?

隅田:代表的なものを挙げると、土地の譲渡や貸付、株式の譲渡ですね。

福田ゆみ:土地が入っているんですか!
土地って金額大きいから、すごい消費税がかかると思ってました。
かからないんですね。よく分かりました。


隅田:でもね、ゆみさん。ここからですよ、本題は。

福田ゆみ:・・・え、突然どうしたんですか?

隅田:たいていの講座はここで終わってしまいます。
「確かに、消費という性格に合わないですね〜」で。
そもそもの、“消費”の本質まで踏み込んだ説明をしている講座が見当たらないんです。


福田ゆみ:本質・・・?

隅田:本質を話そうとすると、どうしても経済学の話になってしまうのですが、いいですか?

福田ゆみ:いいですよ。先生、話したそうですもん。笑。

隅田:経済学では、私たちが売買するものを、「財」と「サービス」と呼びます。簡単に言うと、形のあるものが「財」、形のないものが「サービス」ですね。
そして、「財」にも「消費財」と「耐久財」があります。
この違いは、「消費財」は、だいたい1年も経たずに食べてしまうもの、「耐久財」は、修理したりして何年もかけて食べるものです。


福田ゆみ:食べる・・・?

隅田:そうです、“食べる”です。
「費消」という言葉がありますが、あまり使わないですよね。しかも「消費」は厳密には、消費財を買うことをいいます。なので、“食べる”という言葉で言い換えます。
ちなみに、耐久財を買うことを「投資」と言います。
一方の「サービス」の方は、サービスを受けたその時その場で食べちゃいますよね。


福田ゆみ:はい、食べます。

隅田:では次はその反対で、財やサービスを生産する側の話です。
財やサービスを「生産」して「売る」には、そこに手間暇かけて、いろいろのものをつぎ込んでいます。ヒトがせっせと働いたり、機械をガチャガチャ動かしたり。


福田ゆみ:ガチャガチャ・・・笑。


隅田:そうやって手間暇かけた分、付加価値をつけて販売するのが、財やサービスです。
この付加価値の源は、ヒトの労働や機械を“食べる”ところにあります。
こうして、財やサービスを消費しながら新たな財やサービスを生産する、これを繰り返して回っているのが経済なのです。
ゆみさんも、GDPという言葉を聞くと思います。国内総生産のことですが、この付加価値の合計のことなんですよ。


福田ゆみ:GDPって、そのことだったんですか。

隅田:そして、この視点に立てば、“食べる”と「付加価値」は、ほぼイコールということが分かります。
実際に諸外国では、消費税に相当する税金を「付加価値税」と呼ぶところもあります。


福田ゆみ:あっ、韓国では「付加価値税」でした。こういうことだったんですね。

隅田:それではここで今一度、土地や株に注目すると、どうでしょう。
土地や株は、食べたり、手間暇かけると付加価値がついたりするでしょうか?


福田ゆみ:違いますね。だから消費税がかからないんですね。

隅田:実はGDP、土地や株がどれだけ売買されても、GDPは何の影響もないんですよ。

福田ゆみ:えっ、そんなところも一緒!

隅田:このように消費の本質を理解すると、第6条の条文での例示をわざわざ確認しなくても、消費税のかかる・かからないの判断がしやすいと私は考えます。

福田ゆみ:いや〜、ホント勉強になりました。

隅田:ただ、注意して欲しいのが、労働を“食べる”ことに対して消費税はどうなのか、というところです。
この理屈でいくと、かかりそうな気がしますよね。


福田ゆみ:違うんですか?

隅田:もう一度、第5条の条文を見てください。「事業者は」とあります。
もし、ハケンのように「事業者」に払うと、消費税がかかります。これは経済学でもサービスの「消費」なので、理にかなっています。
ところが、いわゆるサラリーマンは、「事業者」ではないので、消費税はかかりません。経済学でも、労働というサービスは「消費する」とは言わず、「付加価値」そのものですから、理にかなっています。


福田ゆみ:同じような費用でも、違うんですね。

隅田:といったところで今回は、途中、経済学にまで話が飛んでしまいましたが、どういう取引に消費税がかかるのか、をお話しました。

福田ゆみ:隅田先生、どうもありがとうございました。
次回も楽しみです。


Point
1.消費税は「消費」(≒「付加価値」)という行為に着目した税金
2.土地・株式を売買しても、「消費」ではないため、消費税はかからない
3.事業者ではない「サラリーマン」への給料には、消費税はかからない